相続、と聞くとどんな連想をしますか?
「遺言」「遺産分割」「遺産トラブル」・・・色々な言葉が浮かんでくるのではないかと思います。
よくドラマなどで故人の遺産をめぐって争いが起きる場面が出てきますが、実際似たような事が現実でもよく起こっています。
なぜ争いにまで発展してしまうのかというと、「相続について準備不足だった」からにほかなりません。もちろん急逝された場合等、故人の死が予測出来ないケースもあるかと思いますが、人には遅かれ早かれ必ず死が訪れるものです。ですから、「相続について考えるにはまだまだ早すぎる」事は決してありません。相続は愛する人たちへの最期の贈り物です。「争続」にならないようにしっかりと自分自身がしっかりと知識を蓄え、然るべき手続きを行い、少しずつ準備をしていきましょう。
今回は、相続についての基本から、弁護士費用についてまで詳しく説明していきます。
相続の基本
相続は基本的に、「生きている間に準備すべき手続き」とされていますがそれはなぜでしょう。
答えは、「生前に手続きを済ますことで節税ができるから」です。
この、生前に手続を済ますことを「生前相続」と呼びます。生前相続とは、生きている間に財産を贈与することによって本来相続でかかる多大な相続金を節約する目的として行われます。
なぜ生前贈与を行うと節税ができるのかというと日本では「生前贈与の場合、1年間の贈与額が110万円以下であれば、贈与税が課せられない」という決まりがあるからなのです。
これを基礎控除と呼びます。
つまり、1年に110万円以下の財産を少しずつ相続人に贈与していけば、将来的にはかなりの節税が期待できるということです。
ここで「そもそも相続税ってどのくらいかかるの?」という疑問が出てくるかと思います。
相続税とは、被相続人の財産を相続した相続人が支払う税金であり、相続した場合これを支払わなかったり拒否することは出来ません。(ただし、相続自体を放棄して税金を支払わない、ということは可能です。)
この計算方法についてはブログ内でお話している内容になりますので以下をご参照ください。
ブログ内でも書いていますが、各々の状況によって算出方法も異なる場合もありますので、正確な金額を知りたいとお思いの方は弁護士や税理士に相談されるのが望ましいと思います。
当事務所でも、「相続したが、相続税が高くて払えないのですがどうすれば良いですか」等相続税に関するお問い合わせも多くいただきます。
先程も申し上げたように、最も望ましいのはその様な事態にならぬよう予め準備をしておくことです。例えば、
・自分の場合相続税がいくらかかるのか計算をする
・相続人を予め決めておき周知させる
・遺言を書いておく
・金銭の整理をする
・弁護士や税理士などの専門家に相談する
等です。
私達弁護士は、生前の相続はもちろん相続後の相続税に関するご相談も承っています。
ぜひ一度お問い合わせいただければと思います。
さて、簡単に相続について触れましたが、ご自分がそもそも誰に相続する(される)のかおわかりですか?
知っているようで実は知らない方も多いのではないでしょうか。
ということで、ここからは相続人についてお話していきます。
誰が相続人なの?
もちろんこれについては法律で規定があり、基本的はまず遺言書の内容が優先されることになっています。もし遺言を残さずして他界してしまった場合には、法律で定められた相続人が遺産を取得できることとなっています。(これを法定相続人と呼びます)
まず、「配偶者」が相続開始時存在していれば必ず相続人になります。
この配偶者と認められるには法律婚をしている必要があり、現状では内縁関係のある者には法定相続分は認めないとされています。一方、事実上離婚をしている配偶者であっても戸籍上婚姻関係にあれば法定相続分が認められます。
もし被相続人に子供がいれば子供もその対象です。子供がいない場合は、親や兄弟姉妹が対象となります。
つまり相続順位は以下のようになります。
1位:直系卑属(子や孫など)
2位:直系尊属(父母や祖父母など)
3位:兄弟姉妹
もし、被相続人の子が亡くなってしまっている場合にはその孫が優先的に相続されます。
(これを代襲相続といいます)孫が亡くなっている場合にはひ孫が、兄弟姉妹が亡くなってい
る場合には甥や姪がそれぞれ代襲相続できることになっています。
そしてその相続配分についてですが、相続人が配偶者と子供の場合は、それぞれ2分の1ずつ。
配偶者と直系尊属(父母や)祖父母など)の場合は、配偶者が3分の2で直系尊属が3分の1。
配偶者と兄弟姉妹の場合は、配偶者が4分の3で兄弟姉妹が4分の1の割合で相続します。
また、同じ地位に複数人相続者がいる場合は等分して相続分を取得することになっています。
相続の基本についてご理解いただけたでしょうか?
次は相続トラブルの主と言っても過言ではない「遺産分割」についてお話していきます。
遺産分割とは
相続のトラブルで多いのは何といっても財産分与、遺産分割に関することです。
「うちは資産家じゃないから大丈夫」
「親の財産もほとんどないし問題ないよ!」
などと気楽に思っていると、意外にも残された家族は、被相続人が遺してくれた財産し対し、
「誰がいくらもらえるのか」で揉めることがあります。
相続税がかからないほどの少額であっても、老後の心配や将来に対する不安から、少しでも多くの財産がほしいと、たとえ被相続人の生前は仲が良くても、双方の配偶者などからの意見に左右されて、結局のところ揉めてしまうのです。
このようにいざ相続の手続きを開始する、となったとき揉めないように予め準備しておくことが大切なのです。
事前に話し合いをし、配分などをとり決めておけばその時が来ても争う必要もなくなります。
先程申し上げた通り、相続において遺言がある場合には基本的にはそれが優先されます。
もし遺言がなければ、相続人の間でどのように遺産をわけるか話し合い(遺産分割協議)をすることになります。この遺産分割協議が非常に重要になります。
遺産分割の際最も争いが生じやすいのが、不動産しか遺産がないようなケースです。
うまく合意分割できるケースもありますがほとんどの場合はそうではないでしょう。
加えて、「不動産での相続は不要」という相続人もいる場合も多いので大概の場合一筋縄ではまとまりません。
そこで、不動産を売却してそのお金を分割する(換価分割)という方法が現実的に多く採用されています。
売却したお金を配分するため、平等に分ける事ができるというのが大きなメリットですね。
さらに不動産の取得を希望しているのが相続人のうちの一人だけであれば、その者が不動産を取得し、ほかの相続人には代わりとしてお金を分配することもできますのである程度融通もききます。
遺産分割ではこういった細かい部分を定めていく必要があるので、遺産分割協議において互いの意思をきちんと確認することが大切です。
遺産分割協議では相続人全員の合意が必要なため、相続人のうち一人でもこれに応じてくれない場合には、遺産が分けられません。
こういった場合には、通常家庭裁判所に対し、遺産分割調停の申立をするのが一般的です。
ですが調停はあくまで話し合いによる解決を目指すものであり、それでも相続人間で合意が得られない場合は遺産分割ができません。
遺産分割調停においては、いかに自分に有利に話し合いを進めていくかという事を各相続人が考えます。
そのため、争いとなる内容が多い場合には、それらを一つずつ解決していく必要があり、遺産分割手続きは長期化しがちな傾向があります。
よく耳にする「遺産トラブル」というのはこういった場面で発生するわけですね。
当事務所でも「全員の合意が得られず話し合いが泥沼化し、一向に解決の兆しが見えない」というご相談を頂いたこともありますが、弁護士という交渉のプロを介することで意外にもすんなり決着がつく場合もあります。
時間や労力を浪費する前に一度弁護士に相談することも視野に入れていただければと思います。当事務所では初回の相談料は頂いておりませんのでお気軽にお問い合わせください。
相続についてかかる弁護士費用
前述したとおり、遺産分割協議においてトラブルはつきものです。当人同士の話し合いにも限界がありますので、法律と交渉のプロである弁護士を介して解決を目指すのが得策です。
とはいえ、気になるのが弁護士費用。
今回は遺産トラブルにおける弁護士費用についてお話していきましょう。
まず前提として、弁護士費用は「着手金」と「成功報酬金」に分けられます。
以前記事の中でもお話している内容になるので、ここでは簡単にご説明します。
「着手金」とは、端的に言えば弁護士に事件を依頼した段階で支払う費用のことです。この費用は依頼した内容の如何に関係なく支払うもので、たとえ依頼が失敗に終わってしまったとしても返還されることはありませんのでご注意ください。
そして「成功報酬」とは読んで字の如く、依頼が成功した場合にその程度によって弁護士に対し支払う費用のことをいいます。
そして着手金・成功報酬金それぞれの目安ですが、扱う内容によって多少金額が変動します。
今回の「遺産トラブル」に関していえば、着手金の目安はおよそ20万円から30万円程度。
成功報酬金については、得られた経済的利益に応じた計算となるのが一般的なため、扱わせていただくご遺産の金額によってかなり変動します。
そのため一概にいくら、と申し上げることは難しいのです。
ですが、当事務所では報酬金についての目安を定めておりますので、以下のURLにてご確認していただければと思います。
相続問題に強い弁護士
遺産分割協議において弁護士の存在が鍵となることはご理解いただけたでしょうか。
しかし一口に弁護士と言ってもこの世には数多くの弁護士がいるため、「どんな弁護士を選べばよいのだろう・・」と思われる方もいることと思います。
ここからは弁護士の選び方についてお話していこうと思います。
遺産トラブルに際して弁護士を選ぶとき重要なポイントがいくつかあります。
①相続に関して十分な知識・経験があるか
弁護士といえども、それぞれ得意分野と不得意分野があり、全員が全員相続問題について詳しいわけではありません。そのため各法律事務所のホームページをチェックしたり、実際に弁護士に会ってみるなどして、これまで相続案件をどれだけ扱ってきたのか確認することをおすすめします。
②人柄が自分とマッチしているか
相続問題の多くが当人だけの問題ではないため、弁護士を介したとてすぐに解決するとは断言できません。そのため必然的に担当の弁護士とコミュニケーションをとる時間も長くなります。人柄がマッチしていないと、気になることがあっても聞きづらかったり、話すべきことがあるのに言い出せなかったりして、かえって問題を長期化させる恐れがあります。中には仕事は出来ますが、圧が強く相手に萎縮させてしまうような弁護士もいます。もちろんその様な方とマッチする方もいますので一概に良くない、とは言いませんが自分の性格と近く、話しやすい弁護士を選んだほうが後々を考えると得策かと思います。
③費用についてしっかり説明してくれるか
先程申し上げましたが、弁護士費用は基本的に「着手金」と「成功報酬金」で成立しています。多くの法律事務所がホームページなどにしっかり金額の目安を表示しています。しかし中には「着手金無料」「完全成功報酬制」などと謳い、金額の目安がはっきり明示されていない事務所があります。こういった「安さ」を大々的に売りにしているところは注意すべきです。以前記事でも書かせていただきましたが、「着手金無料」と謳っていてもその分成功報酬金に上乗せして調節し、結局最終的な総額は一般的な事務所と変わらない、という事務所があります。
もちろん費用が安く済めばそれがなによりではあります。しかし、そのように事実を誤認させるような広告を打って集客する弁護士事務所に「誠実さ」があるとは思えないのです。
ですから、一度弁護士に会ってみて費用について詳しく質問されることをおすすめします。そこで金額については濁したりはっきり数字を言わなかったり、「完全出来高制です!」などと言って説明から逃れようとする弁護士はやめておくべきでしょう。
遺産トラブルは中でも非常にデリケートに扱うべき問題です。
というのも、ご相談者様以外にも何人もの方と関わり、その方々と交渉する必要があるからです。
反りが合わない弁護士や、誠実さに欠けるような弁護士に依頼してしまうと、さらに険悪な雰囲気になってしまったり、解決が遠のいてしまうこともあります。
弁護士費用の安さに囚われすぎず多角的な視点から弁護士を選定されることをおすすめします。
いかがでしたか?
相続について少しでもご理解いただければ嬉しく思います。
現在実際に相続について悩んでいる方はもちろん、相続について事前に準備したいと考えている方も何なりとご相談いただければと思います。
当事務所は初回相談料も無料になっておりますのでお気軽にお問い合わせください。