児童扶養手当を活用する
皆さんは児童扶養手当という言葉を聞いたことはありますか?昨今のコロナ禍において、ニュースで耳にすることが多くなったのではないでしょうか。
子供を育てていくのには当然お金がかかります。金銭的に余裕がないご家庭や今後の養育費の金額について不安に思われている方はぜひご一読ください。
今回はこの児童扶養手当について、その仕組みと対象についてお話していきます。
まずこの手当は、ひとり親家庭の子供の生活の保全を目的とした給付金であり、母子家庭・父子家庭、また祖父母が扶養しているケースも対象とされています。
なお、受給可能なのは子供が満18歳になる年度の3月31日までとなっています。
そしてこの児童扶養手当を受給するための方法ですが、まず認定申請というものを市区町村役場の住民課等で提出し、生活状況のヒアリング調査を受けます。この調査等で支給条件に足ると認められれば児童扶養手当が給付されることになります。
この生活状況のヒアリングに関してですが、以下の数点について聞かれることが多いのであらかじめ回答を準備しておきましょう。
- 現在はどのような収入状況にあり、どのようにして生計を立てているのか
- 養育費はいくらか、その金額で不足ないか
- 支出状況はどのようになっているか
- 生活保護は受けているか(今後受ける意思があるか)
- 金銭的に援助してくれる親族等はいるか
上記のように、「無駄遣い等不必要な支出が無く」「他に受給可能な金銭的援助も無い」事を証明する必要があります。
そして最も重要な支給額についてですが、これは収入・所得がベースになっており、現在では以下のような算定方法になっています。(2022年3月7日時点)
童扶養手当について|厚生労働省 (mhlw.go.jp) 『平成30年8月から、支給制限に関する所得の算定方法が変わります。』部分
このように、基本的には所得によって決定されるものですが、この児童扶養手当を受給していると別の制度で優遇されることもあるので、たとえ金額が少額であっても可能であれば受給すべきかと思います。別の制度の優遇についてはこれからお話していきます。
この児童扶養手当のほかにも、ひとり親であれば何かしらの優遇措置が受けられる自治体もありますので、まずは住んでいる市区町村役場に問い合わせてみるのがよろしいかと思います。
離婚後の金銭面で不安を抱えている方は、ぜひ一度当事務所にご相談いただければと思います。初回のご相談料は無料になっていますのでぜひお気軽にお問い合わせください。
【参考文献】
ひとり親家庭が活用できる優遇制度
これまでは児童扶養手当についてお話していきましたね。その中で、児童扶養手当を受給することで受けられる優遇制度があると申し上げました。今回はその優遇制度について詳しくお話していこうと思います。
まず、児童扶養手当を受給していることによって受けられる制度ですが、
①福祉定期預金制度
②JR通勤定期割引制度
などがあります。
まず①の福祉定期預金制度についてですが、そもそも福祉定期預金とは「児童扶養手当を受給している人や障害をお持ちの方などが預入を行うことができる、預入期間1年の定期貯金」のことです。
これは一定額までの利子が非課税になったり、一般の人よりも金利が優遇される、などの特徴があります。この制度を受けるには銀行や郵便局の窓口に行き手続きを行う必要があります。必要な書類としては、児童扶養手当受給者証明書や通帳、身分証明書になります。
そして②のJR通勤定期割引制度は、児童扶養手当を受給している方であればJRの通勤定期券が3割値引きされるというものです。手続きを行うには、まず市区町村役場の窓口へ行き「特定者資格証明書」の交付申請をする必要があります。この申請に際しては、児童扶養手当証明書と証明写真、印鑑が必要です。窓口に行く前に来訪の旨と必要書類について一報入れておくことをおすすめします。特定者資格証明書が交付されたらJRのみどりの窓口へ行き、定期券を購入します。
また、ひとり親家庭の方は寡婦・寡夫控除制度をぜひ知っておいてください。
これは、ひとり親家庭の税負担を軽減できる制度であり、勤務先に対応してもらうか自分で扶養控除等申告書を作成し、確定申告を行うことで申請が完了します。この控除の結果、納税額が少なくなれば年末調整で多く返金されるため結果的に税負担が軽くなるというわけです。
このように、ひとり親家庭を救済するための優遇措置が多くあるので知らないと大きな損をする場合があります。優遇制度について詳しいことを知りたい方はぜひ一度当事務所にご来訪頂き、今後の金銭管理等についてもアドバイスさせて頂ければと思います。
国による貸付制度を利用する~制度の内容と貸付審査のポイント~
ひとり親になり金銭的な余裕がなくなってしまった家庭に対して、市区町村がお金を貸付けるという制度があります。しかしながら、ひとり親であれば必ず借りられるというわけではなく、いくつかの審査をクリアする必要があります。
今回は貸付制度の内容と、審査でみられるポイントをお話してきます。
一般的に、「お金を借りる」と聞いて浮かぶものは何でしょうか。
多くの方が、「借金」「連帯保証人」や「利子」などを連想するのではないでしょうか。
もちろん民間の金融企業などから借りる場合はそうですが、ひとり親に対する貸付制度はあくまでも福祉を目的としたものであり利を訴求したものではありません。
そのため基本的には、連帯保証人がいなくともお金を借りることができます。というのも、ひとり親の中には「保証人を頼めるような人が周囲にいない」というケースも少なくありません。そのため、連帯保証人がいない場合でも貸付が認められているのです。
ただし!連帯保証人を立てずに貸付を利用した場合には年利1.5%の利子が付与されることを忘れてはいけません。連帯保証人をつけるということは返済意志を裏付ける証明となる訳ですね。逆に、連帯保証人を立てた場合、本来有利子の資金も原則無利子で借りることが可能です。ですから、可能な限り連帯保証人をたてることをお勧めいたします。
そして資金の種類は多くあり、どの資金を利用するかによって貸付限度額・年利率・返済期限などが変わってきます。どの資金を利用すればよいかわからない場合には、市区町村役場へ行き相談してみることをおすすめします。
加えて、現在コロナ禍において困窮しているひとり親への支援も行われていますので併せてご確認ください。
ひとり親家庭等支援における新型コロナウイルス対応関連情報を掲載しております。 (mhlw.go.jp) (厚生労働省のHPより抜粋)
お金を借りる、と聞くと少し気負いしてしまいそうな方もいらっしゃるでしょうが、これは権利であり、子供を養っていくための親の義務でもあると私は考えます。もちろん貸付制度を利用することを強要するのではありません。ただ、国にはこのような救済措置があるということを知っておいていただければと思います。
さて、前述したとおりこれらの貸付制度を利用するには審査を通過する必要があります。この審査をクリアするためのポイントをこれから話していきます。
結論から言うと、審査では基本的に以下2点が特に重要視されます。
①利用する資金を目的通りに使うか
②返済プランが明瞭か
①についてですが、たとえば子の修業資金として貸付制度を利用したのに親の個人的な買い物に使われていることが発覚したとしましょう。当然、目的外のために使われていることは到底許されるべきではありませんし、当人がバレないと思っていてもこういった事実は意外にも簡単に漏れるものです。こういった、悪質な金銭の使用が発覚した場合には貸付金の一時償還を求められることがあります。
一時償還とは、「借りたお金を一度に返済すること」です。場合によっては全額の返済を求められることもあるのでかなり厳しい措置だと考えられます。このように、本来の資金貸付目的以外のことに使われることを防ぐために、「使用目的を証明する書類」、「目的を達成するための計画書」などを作成させ提出するように求めるケースが多いです。
②についてですが前提として、借りる資金によって返済期限はまちまちです。5年以内の期限のものもあれば20年以内と定めているものもあります。この返済期限までにしっかり返済が完了するように、「いつまでにいくらずつ返済していくか」というプランを明瞭化する必要があります。
このように、貸付制度を利用するためにはしっかりとした書類の作成と返済プランを熟慮する必要があり、簡単なことではありません。一人ですべてを手配するのは多大な労力と膨大な時間を要します。こういった貸付制度についてお困りの方、また、書類作成方法が分からない方などいらっしゃいましたら私達弁護士にぜひお気軽にご相談頂ければと思います。
生活保護を受給する
「離婚したことにより生活が非常に困窮してしまい、どうにも立ち行かなくなりました。でも生活保護を受けるのはやはり気が引けてしまいます。」
というようなご相談を時折いただきます。
たしかに生活保護を受ける事に対してネガティブなイメージをお持ちの方は多くいらっしゃいます。しかしながら、生活保護はれっきとした国の制度であり、当然国民は受ける権利がありますからどうか負い目を感じて「生活保護は絶対に受けない」と意固地になるのはどうかおやめいただきたいと思います。
今回は、「そもそも生活保護とはなにか?」「生活保護を受けるにはどうすればよいか?」をお話していきます。
まず、生活保護とは最低限度の生活を保障するという制度です。生活が困窮し立ち行かなくなってしまった方はいち早くご利用してください。ただし、だれもかれもが生活保護を受けられるというわけではないのが現実です。
「自力で金銭面を工面できる余力があるのならば、なるべく自助で生活してほしい」というのが国の基本的なスタンスだからです。というのも、生活保護はいわば血税。
国民の税金から捻出されているため財源には限りがあります。ですから「困窮している」という理由で、生活保護を申請した人全員が全員受給できるわけではないのです。
そのため、生活保護を受給するためには「生活が立ち行かなくほど困窮している」という証明をする必要があります。
たとえば「生活費に充てるお金がもう一切ない」ことを示さねばなりません。家族や親族がいればそこから借りることはできないか、売却できる財産がないか、ここをクリアする必要があります。また、「働く力があるか否か」という所もポイントです。働いていない理由についても、病気や障がいなどを患っており全く働くことができない、と判断される必要があります。
このように様々なヒアリング・調査をされたうえで決定されるため軽々に受給をおすすめします、とは申し上げられません。
しかし、生活保護の受給が難しくてもほかにも給付金を受給できる制度はないか調べたり、受給できるようこちらで書類作成やヒアリング対策をさせていただくことも可能です。
あきらめる前にぜひ交渉のプロである弁護士にご相談いただければと思います。初回のご相談料は無料となっておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。