前回、「結婚後に構築された財産はすべて夫婦の共有財産とみなされ、財産分与を行う際はその財産を原則半分ずつ分け合う」というお話をしましたね。
今回はその「財産」について具体的にどのようなものが対象となるのかを説明していきます。
☆この記事で分かること☆
共有財産の対象となるもの、ならないもの
繰り返しになりますが、共有財産とは「結婚後に構築した財産」のことをいいます。
つまり現金、預貯金、不動産、年金、車、保険などがその対象になります。
それから、前回少し触れましたが、負の財産、つまりは結婚後に負ったローンや借金などもその対象です。共有財産を考える上では「正の財産」-「負の財産」の式で算出します。
では逆に、「共有財産となり得ないもの」は何でしょうか?
一般的に、この共有財産となり得ないもののことを「特有財産」と呼びます。
これにあたるものは、独身時代に自分で稼いだ預貯金や投資の配当金、購入した不動産や車などです。
それから、親や親族から相続した資産も特有財産にあたり、財産分与からは対象外となります。
というのも、相続する権利は相続する本人のものだと考えられるからです。
ただし、生前贈与などで贈与を受けた場合には公正証書を作成することをおすすめします。
なぜなら夫婦2人に対する贈与とみなされてしまった場合、財産分与の対象となってしまうからです。
それと、自分しか使わない家財も特有財産の対象とみなされる場合があります。たとえば、使っている携帯電話や洋服や時計、アクセサリーなどのことです。
女性ものの洋服や下着などを夫に譲ったところで夫はそれを使用することはできませんよね。このように「夫婦の片方が使いどころのないもの」と判断されるようなものは特有財産とみなされます。
ただしブランド品などの高額なものは、売却すれば資産となるので財産分与の対象になります。
財産分与の対象の対象になるか、ならないかで揉めるケースもあります。話し合いによって解決できない場合は弁護士に聞き、判断してもらうとスムーズです。